DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは③~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2024.01.08

DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは③~

DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは③~
建物・不動産の価値に惑わされずに、収益性のみで判断することが大切

 前号に引き続き、当社がM&Aする際の基準について具体的な事例を交えてお話しします。
M&Aを不動産購入と比較してみる。

●自己資金7000万円で、利回り20%の飲食店を購入した場合

M&A購入価格・・・1億円
年間売上・・・1億円
年間利益・・・2000万円
銀行借り入れ・・・3000万円

※不動産等の担保がない会社に対して融資する銀行は少ないため、M&Aの融資単体で見て、月間売上約800万円の4カ月分、運転資金だとMAX3000万円を借り入れる。

→自己資金投資額7000万円に対する年間キャッシュは2000万円

●不動産でnet利回り10%の案件を自己資金7000万円で物件を購入した場合

不動産購入価格・・・3億5000万円
年間利益・・・3500万円
銀行借り入れ・・・2億8000万円 

→7000万円に対する、年間キャッシュ3500万円

M&Aをするよりも不動産投資の方が1.75倍もキャッシュが多く手に残る計算になる。実際は、不動産の建物の減価償却もあるので、M&Aするよりも2倍以上のキャッシュが残ることになり、この現金をまた複利で運用することができる。不動産でnet利回り10%の物件を見つけるのが難しいと思われている方は、東京や都心部の物件だけを見ているからだ。
当社は2021年の1年間だけでも、現物+不動産のM&Aを含めて利回り15%以上の案件を20億円以上購入している。地方に目を向ければ、利回り20%以上の物件もまだまだたくさんある。
 不動産もM&Aも最後は目利きになるが、不動産の方が、M&Aよりも銀行の融資が付きやすいため、レバレッジの効果は高い。また流動化しやすく現金に換えやすい。購入後の労務リスク、社員の退職リスク、粉飾決算リスク・・・とM&Aよりもリスクは少ない。
こうした点を踏まえると、M&Aはやはり利回り30%くらいの3年回収が基本となる。回収はMAX5年で、最低利回りは20%以上が基本と言われるM&Aの投資利回りの考え方だ。
 具体的な事例をご紹介しておく。コロナ以降に多い案件で旅館やホテルがある。

「旅館の敷地が3000坪ついてきます。これだけでも相当な価値がありますよ…」

相当な価値がある場合は、その3000坪の土地が宅地販売に転用できる場所にある、あるいは駐車場として貸して収益を得られる場所にある場合に限られる。

旅館の売却価格 

M&A法人価格3億円―宅地売却価格1億円=2億円

 M&Aの法人購入価格は2億円となるが、土地が山林だった場合、他の事業者に売ることはできない。もしくは3000坪の土地を売ってしまったら、折角の庭園がウリの老舗温泉旅館の価値がなくなってしまう。そういった場合は実際には売れない土地のため、その分を資産として引くことができない。あくまでも投資利回りが基本となるので、簿価3億円の土地を持っていても、年間利益が1000万円の会社であれば、買値は3000万円ということになる。その3000坪の土地を利用してさらに収益をあげられるプランがあるのであれば、その再考後の収益から利益を計算して収支を出してもらうことはできる。 仲介会社の

「当時建物20億円かかったのですよ。今も建物だけで10億円くらいの価値はあります。それが2億円で購入できるのですよ」

という口車にだけは乗らないでほしい。建物に10億円かかっていようが、利益が1000万円しかなかったら、2億円で購入すると利回りは5%だ。回収期間は20年間になる。
同じく、

「このお洒落なcafeを作るのに改装費用3000万円かけたのです」

と言われても、現在年間100万円の利益しか出ていないのであれば、投資利回り3.3%で回収は30年ということになる。そんな商売は成り立たたない。買値は300万円だ。

(次号へ続く)