DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2024.03.11

DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~

DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~
不動産投資とM&A、同じ金額を使うのであればどちらがお得?

 儲かる会社はどこを見て判断するのか?自走なのか、それとも現在利益なのか?財務諸表という目に見える数字だけを見ていても、それが「まぐれ」なのか「実力」なのかを判断することはできない。その会社が10年以上続いており、利益もここ数年安定して出続けていれば「実力」と判断しても良いのかもしれない。しかし、10年続いた会社でも時代の流れで消えてしまうことがあるのもまた事実だ。財務諸表で判断できることは、その会社の50%までである。目に見えない企業は「永続的競争優位性」から利益を計算して現在の購入価格を決める。

①業界的継続性(時代の流れに取って代わられないか)
②シェア的継続性(参入が多く顧客シェアを失われないか)
③時間的継続性
④人的頭脳継続性(有能な人材が働き続けることができる環境か)

 M&Aをする際に特に重要なのは④だ。どんな会社も最後は人である。中小企業は、成長著しい反面、社長のカリスマ性によって成り立っていることが多い。すでに社長が一線を退いた状態で数年運営されているというのであれば話は別だが、一般的に会社の柱がいなくなると、人材流失や取引先の対応の変化、営業力の低下といった影響が表れる。財務デューデリよりも大切なのは人財デューデリである。これは大企業でも一緒だ。ソフトバンクでもソニーでも社長が交代すると、利益は大きく変わる。
 日本のM&Aの専門会社で、この点に着目して企業価値を判断する会社は少ない。当社は購入したM&Aの会社のほとんどデューデリジェンスをしていない。その代わり人財デューデリジェンスはかなり念入りにすることにしている。どんな会社も最後は人である。 戦国最強とうたわれた武田信玄の騎馬隊は、信玄亡き後、多くの有能な武将がいたのにもかかわらず負けてしまった。
 売主の社長に、後継者面談・キーマン面談を申し出てみるべきだ。今まで、後継者や人財に自信のある社長に面談を断られたことはない。また、そのような会社は、自走しているため購入後も想定通りの収益を上げることができる。

 また、当社が購入する会社は無借金経営の場合が多い。無借金の会社は、継続して安定した利益を出している会社、創業期の長い会社、年配の社長の会社が多い。右肩上がりの会社の社長や若い社長であれば、借り入れや出資もしてどんどん会社を大きくしていきたいと思うかもしれない。しかし、毎年の利益が継続的に見える会社で利益の上限が決まっている会社などは、大きな借り入れをする理由もない。
 ゴミ回収業やプロパン会社、浄化槽の会社といった免許制の会社は、これ以上規模を広げるのは難しいが、反面、安定して収益を上げることができる。それであれば、無理に新しいことをしなくても金利コストを抑えた方が、メリットは大きい。
 購入する会社に資金需要があり、資金があればさらに利益を上げられる事業ができるというのであれば、購入した会社で新規に融資を得て自分の会社で使うことで、全体的なポートフォリオの収益を上げることに貢献する事ができる。
 前章の不動産投資との比較で記載したが、新会社で借り入れができるかで、会社の評価は変わってくる。例えば、

「不動産でnet利回り10%の物件を自己資金7000万円で購入した場合」


「M&Aで利回り20%の安定企業を自己資金7000万円で購入した場合」

を比較してみる。

(不動産購入)
不動産購入価格3億5000万円
年間利益3500万円
銀行借り入れ2億8000万円 
自己資金7000万円に対する年間キャッシュ3500万円

(M&A購入)
M&A購入価格1億円
年間利益2000万円
銀行借り入れ3000万円
自己資金7000万円に「対する年間キャッシュ2000万円

※不動産等の担保がない会社に対して融資の出る銀行は少なく、M&Aの融資単体で見た場合、運転資金ですと上限は3000万円程度となることが多い

M&Aで購入後、その会社で7000万円の運転資金を借りたとする。

 初めの投資資金と合わせた借入総額は1億円だが、自身のキャッシュの持ち出しは差し引き0円となる。つまり現金0円の投資で年間キャッシュ2000万円の収入を得ることができるということになる。結果的に使わなかった投資資金を元手に、さらに別会社を購入することができる。複利でまわすことを考える、M&Aをするのであればこのことを常に意識するようにしてください。

(次号へ続く)