補助金制度を活用した耐震補強工事の事例|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2024.03.25

補助金制度を活用した耐震補強工事の事例

補助金制度を活用した耐震補強工事の事例
日本の木造戸建ての9割が地震で倒壊の可能性!?

 年明けの能登半島沖地震で注目度の上がっている耐震リフォームを対象にした補助金・助成金制度。今回も制度を使ったリフォーム事例をご紹介します。

 愛知県名古屋市に在住の井原健介(仮名)。ご自宅は1978年築の木造2階建て。お父様から相続した2018年に地元のリフォーム会社に頼んで耐震補強工事を行いました。
井原さん宅は、延べ床面積が約150㎡で間取りは5LDK。過去に起こった地震では目立つような被害はなく、築年数のわりに丈夫な建物でした。しかし、いくつもの自信を乗り越えてきた躯体もさすがに限界が近づいていたようで、自治体のススメで専門家による無料耐震診断を受けたところ、コンクリートでできた建物の基礎にヒビが見つったそうです。

「今のままの状態を放置しておくのは非常に危険です。早急に耐震補強工事をした方が良いでしょう」

と提案を受け、井原さんは耐震補強工事を決断しました。
 井原さんは当初、工事のために800万円を用意しました。しかし、建物が古く、基礎以外にもいくつか傷みの激しい箇所が見つかったことから、予想よりも大掛かりな工事が必要に。結局、基礎の一部作り直しや各所への補強金具の設置、耐力壁の追加などで、最終的な見積金額は予算を100万円オーバーしてしまいました。しかし、急な工事だったこともあり、井原さんもさすがに100万円の追加費用をすぐに用意することはできません。「どうしたものか・・・」と困り果てた井原さんの様子を見た工務店の担当者は、

「今回の工事はそもそも自治体の無料診断から始まっています。おそらく自治体に方で耐震補強工事を対象にした補助金制度なり助成金制度など用意しているはずでしょうから一度問い合わせてみてはどうですか?

とアドバイス。これを聞いた井原さんが早速、市の担当部署に確認したところ、補助金制度の対象条件に合致していることが判明。審査の結果、総額150万円の補助金が下りることになったそうです。
井原さんが準備した800万円と合わせた合計950万円に対し、見積り金額は900万円。結果的に、差し引き50万円の余裕が生まれることになります。工務店はこの余剰金を使って、

「25年前に交換したきりだったキッチンの入れ替えをしてみてはどうでしょうか?最新式のものは使い勝手も良く、奥様も喜ばれると思いますよ」

と提案しました。井原さんは奥様へのプレゼントのつもりでこの提案を受け入れました。
 工事にかかった期間は約1カ月半。完成した物件の引き渡しに井原さんと共に訪れた奥様は、キッチンが新しくなっているのを見てとても驚いたそうです。

「実はキッチンを交換することは家内に話していませんでした。サプライズのプレゼントのつもりだったので・・・」

 兎にも角にも、井原さんご夫妻は耐震補強工事による安心と、キッチン交換による快適さを同時に手に入れることに成功しました。リフォーム後の耐震診断の結果も1.24と上々で、築年数を考えると十分な耐震性を確保することができたそうです。

 現在、世の中にある木造戸建て住宅のうち90%以上は、「地震で倒壊の可能性がある」あるいは「可能性が高い」と言われているそうです。驚くべきことに、地震の際に倒壊する可能性が少ない木造戸建てはわずか10%しかないのです。木造戸建てにお住まいの方は、この機会にぜひ、ご自宅の耐震補強工事について検討してみてください。耐震補強工事を対象にした補助金制度は、おそらく国内のほとんどの自治体が実施しています。「お金がかかるから・・・」と諦めてしまう前に、一度補助金に詳しいお近くの全国優良リフォーム会員に相談してみてはいかがでしょうか。