飯田グループHD、業績を下方修正|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2024.05.13

飯田グループHD、業績を下方修正

飯田グループHD、業績を下方修正
地方での需要が伸び悩み

 分譲戸建やリフォーム、不動産事業などを展開する飯田グループホールディングス(東京都武蔵野市)の業績が冴えない。4月8日に2024年3月期の通期連結業績予想を大幅下方修正したことが分かった。
 発表によると国際会計基準を適用した連結純利益は前期比59%減の310億円で、これは従来予想から390億円も下回る。売上高は前期比2%減の1兆4100億円、営業利益は45%減の560億円、それぞれ従来予想から1300億円、530億円も少なくなる見通しだ。
 特に分譲戸建ての分野で他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せてきた同グループに一体何が起きているのか?最大の要因は、第3四半期以降、地方エリアを中心に分譲戸建ての需要が大幅に落ち込んだことだと見られる。結果、各地で計画以上の在庫を抱えることになり、新規開発のスピードは鈍化。保有在庫の適正化を図るため、価格長による在庫処分に徹したことが業績の足を引っ張る格好となったようだ。住宅業界に詳しい専門家は次のように分析する。

「同社はこれまで圧倒的な新築供給力と販売力で業績を伸ばしてきました。両輪がうまく嚙み合わなくなれば業績に影響が出るのは当然のことで、今回はそれがモロに数字に表れた格好です」

戸建て販売の苦戦は何も同社に限ったことではない。戸建ての需要はコロナ禍で一時的に伸びたものの、ここにきて再び低下気味だ。大手ハウスメーカーの業績を見てもそれは明らかで、1月中旬に各社が発表した注文住宅の受注速報値は、12社中6社で減少した。中でも大和ハウス工業(大阪市北区)は12月単月で12%減、期累計で18%減と、散々な結果に終わっている。もちろん、最終的に巻き返す可能性は十分あるが、全体的に苦戦を強いられている感は否めない。飯田グループHDの苦戦も、こうした流れの一つとして見ることができるのではないだろうか。
そもそも原因はどこにあるのか。同社は特に影響が大きかったのは

「原価上昇分をすべて売価に織り込めず利益率が低下、それによって市中在庫が過剰な状況に陥ったためだ」

との分析を発表している。
気になるのは、今後、同社の販売が持ち直すのかという点だ。これに関しては厳しい意見がある。前述の専門家は

「実はこの3月に、傘下の住宅情報館(神奈川県相模原)、一建設(東京都豊島区)、飯田産業(東京都武蔵野市)、アーネストワン(東京都西東京市)の5社が、それぞれが運営するWebサイトやX(旧Twitter)などに掲載していた「No.1」を謳う表示が、景品表示法違反に当たるとして、消費者庁から措置命令を受けました。どうやら客観的な調査に基づかない表示と判断されたようです。過去にこの表示を信じて同社で家を買った人の中には、今回のニュースを見て『嘘だったのか』『No.1だと信じて買ったのに騙された』と感じた方もいたかもしれません。少なくとも、命令を受けた5社に関しては、間違いなく対外的なイメージは悪くなったはずです」

と話す。
 措置命令が今後の業績にどの程度の影響が出るかは未知数だが、動向からは目が離せそうにない。消費者庁は今回の命令を踏まえて「景品表示法に違反した旨を一般消費者に周知徹底すること」を5社に求めているが、本紙が5社のホームページを確認したところ、「No.1」の表示こそないものの、違反に関する告知のようなものは一切見受けられない。もしかしたらどこかに掲示されているのかもしれないが、少なくとも「周知徹底」というレベルではなく、反省している印象は受けない。住宅業界を代表する大手の対応としてどうなのだろうか。疑問を感じざるを得ない。