DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2024.05.20

DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~

DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~
評価をごまかしやすい商品在庫と設備

 M&Aの評価においてもっとも資産価値をごまかしやすい項目が不動産であることは前号でお話ししました。今回はその次に騙されやすいECショップや物販などの在庫品について解説していきます。

売主「倉庫にある高級な建材や住宅商品だけでも2億円以上の価値はあります」

・売れたらの話ですが…高級な建材は、5年以上年売れていませんので、倉庫代だけが無駄にかかっています
・2億円の価値と言いましたが、すぐに現金化しようと思うと、もしかしたら5000万円くらいにしかならないかも知れません
・住宅商品も余剰在庫ではなく、単にお客様への販売が遅れ遅れになっているだけのため、会社購入後に最低限の商品を仕入れるための資金が必要になります
・住宅商品も半分は数年前のデザインの商品であり、いわゆる売れ残りです。すぐに捌こうと思ったら、簿価の半額以下にしても売れるかどうか分かりません。

売主「在庫は1000万円分あります。その分の資産もついてきますのでお得なM&Aの案件だとお思います」

・毎月3000万円の販売がある場合でも2000万円分不足します。すぐにでも2000万円のキャッシュが必要になります
・海外生産のため発注してから納品まで3ヵ月かかります)」

 みなさんはこの案件をどのように考えますか?一見すると、在庫が1000万円もついてくるので得したと考える人もいるかもしれません。しかし毎月の月商の流通額を確認してください。現金は先入金です。となると、2000万円が足りないだけでなく、来月の分と再来月の分、合わせて2ヶ月分もまとめて注文しておかないと、商品の販売が途絶えてしまうかもしれません。結果、3000万円×2ヶ月分+2000万円=合計8000万円の追加運転資金がいることになります。このような場合は表面の会社買収金額が1億円でも、本当の買収金額は1憶8000万円とみなします。

 また、設備も資産価値をごまかしやすい項目です。

売主「こちらの工場にあるプレス機は、当社がオリジナルで作った一点ものです。この機械だけでも1億円出してでも欲しいと言うお客様がいるくらいです。今、これと同じ機械を作ろうと思うと、最低でも2億円はかかります」

・買いたいと言われたのはもう10年も昔のことですが・・・
・今は、最新の機械がもっと安価で作れますが・・・

 設備の本当の価値は簡単に算出することはできません。普通に考えれば使った年月分劣化するので、以前よりも価値が上がることはほとんどありません。むしろ、半値、それ以下に下がっていることの方が多いくらいです。騙されないように気を付けましょう。

 M&Aの仲介会社の不動産査定は、ときに不動産価格を簿価で計算したり、評価証明から割り戻して計算したりしますが、あくまでも購入時の資産価値評価は実勢価格です。さらに実勢価格より、仲介手数料・登記手数料等の手数料分まで引くことで本来の資産価値を出します。

※実勢価格とは、不動産が市場で実際に売買された価格であり、売り手と買い手の間で実際の取引が成立する価格、すなわち需要と供給が釣り合う価格のことです。国土交通省では定期的に土地取引の指標として地価の目安(公示地価)を公開していますが、こちらは需要と供給を表しているわけではありません。地方ですとそもそも売買が成立しないようなところでも、高い評価がついていることがあります。同じ価格で必ず取引ができるわけでないことを踏まえておくことが大切です。

(次号へ続く)