新宿区違法民泊に事業廃止命令|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2026.01.26

新宿区違法民泊に事業廃止命令

新宿区違法民泊に事業廃止命令
今後の民泊ビジネスにも影響か!?

 2010年代以降の外国人観光客の増加を背景に、新たな不動産ビジネスとして注目を集めてきた民泊ビジネスですが、ここにきて正念場を迎えています。周辺住民とのトラブルや違法営業が多発していることを受け、各地の自治体が規制に乗り出しました。民泊ビジネスは一体どうなるのでしょうか。最新動向を取材しました。

「自分たちだけが儲かれば良い、そんな考えでやっている事業者が多過ぎます。周辺住民の生活のことなんてまるで考えていない。早くなくなって欲しいです」

民泊が営まれる大阪市内の賃貸マンションに入居するある住人はこう話します。
 民泊とは、戸建て住宅やマンションの一部を宿泊施設として旅行者に貸し出すサービスのことで、2017年に施行された住宅宿泊事業法や、国家戦略特区においては自治体の条例に基づいて運営することが義務付けられています。しかし、その規制の厳しさから当初から法を無視して営業する違法民泊が横行し、各地で大きなトラブルが起こっています。民泊に対してネガティブな印象をもっている人は多く、こうした声を受け、各地の自治体が本格的に規制に乗り出しました。
 12月5日には、東京都新宿区が都内で初めて、区内で民泊を営業していた個人・法人4者に対して事業廃止命令を出したことが大きな話題になりました。4者はいずれも、度重なる違法行為により業務停止命令を受けていたにもかかわらず、なおも営業を継続したり、報告義務を怠るなど、区の指導を無視。その悪質性に業を煮やした区が厳罰を下した格好です。廃止命令によって、4者は今後3年間にわたり、民泊を営業することができなくなりました。
 民泊によって迷惑をこうむっていた周辺住民にとっては非常にポジティブに映る今回のニュース。しかし、その実効性に対して疑問の声もあります。民泊ビジネスに詳しいある専門家は次のように指摘します。

「そもそも相手は違法営業を繰り返してきた事業者ですから、業務停止命令を受けたところで痛くも痒くもないでしょう。場所を移してどこかでこっそり闇営業を繰り返すのが目に見えています。営業停止やちょっとやそっとの罰金刑では、違法民泊はなくなりません。やっている側からすれば、それほどおいしいビジネスだということです。まじめに法律を順守して営業している事業者が大半ですが、このままだと民泊のイメージは悪くなる一方です」

と昨年の9月には、大阪でも民泊ビジネスを巡って大きな動きがありました。府内で国家戦略特別区域法に基づき特区民泊を実施している茨木市、箕面市、泉大津市など8市町が新規の民泊許可申請の受付を停止し、事実上、特区民泊を終了することを表明しました。8市町が停止の決断を下したのは、民泊が市民の生活の安全に支障をきたす可能性がためです。民泊物件には日本人、外国人を問わず、住人以外が頻繁に出入りすることになることに加え、騒音やゴミ出しのトラブルも発生しがちです。民泊が始まったことで「平穏な生活が壊された」と嘆く人が後を絶ちません。市民、町民の安全・安心の生活を守らなければならない8市町にとっては、当然の決断だったと言えるのではないでしょうか。8市町の決断は、態度を保留にしている大阪市の今後の判断にも大きな影響を与えそうです。仮に府内でもっとも民泊が活発な大阪市が新規申請の受付を停止する判断を下すことになれば、民泊市場にも大きな影響を与えそうです。
 ただ、前出の専門家が指摘するように、受付停止や規制をするだけでは、かえって違法民泊を助長する可能性があります。高額な罰金等のペナルティー等も含めた罰則を設けなければ、結局やったもん勝ちになってしまいます。行政にはその点も含めて、今後の対応について考えてもらいたいところです。今後も民泊ビジネスを巡る国や自治体の動きから目が離せません。