中小企業経営者なら知っておきたい助成金制度|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2026.03.16

中小企業経営者なら知っておきたい助成金制度

中小企業経営者なら知っておきたい助成金制度
賃上げ、育成、定着、3つの人材問題を解決

 資金が限られている中小企業が成長を目指す上で、助成金は欠かせません。人手不足や人件費が高騰している現状においては、人材に関する補助金が特に大きな注目を集めています。間もなく迎える2026年度の助成金制度について解説します。

 昨年8月時点の概算要求では、2026年度は最近の傾向を引き継ぎ、「賃上げ」と「人材育成」「人手不足対策」を軸にした助成金制度が盛り込まれました。これは成長を目指す中小企業にとって、かなり注目すべきポイントです。順にみていきます。
 労働者がもっとも重視するのは、改めて言うまでもなく報酬です。しかし、資金が限られている中小企業は、世の中の流れに関係なく、おいそれと簡単に賃上げをすることはできません。そんなときに活用したいのが「賃上げ支援助成金パッケージ」です。これは「生産性向上支援」と「非正規雇用労働者の処遇改善」という2つの軸で構成される助成金制度です。
 「生産性向上支援」には、「業務改善助成金」と「働き方改革推進支援助成金」の2種類があります。2026年度は前年度から20億円増額される見通しで、国として相当力を入れていることがよく分かります。
 「働き方改革推進支援助成金」は労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進などに取り組み中小企業を対象にした制度で、2026年度は101億円の予算が計上される見込みです。1企業当たりの助成額は最大720万円と、非常に高額です。ハードルは決して低くはありませんが、社員のモチベーションを高めるためにも、ぜひ積極的に活用を検討したい制度だと言えます。
 「非正規雇用労働者の処遇改善支援」では、554億円というかなり大規模な予算が組まれる予定です。注目すべきは「情報開示加算の新設」です。非正規雇用労働者に関する情報を適切に開示した場合、1事業者あたり20万円が追加支給されるというもので、人材定着や育成に取り組む企業は、かならず活用したい制度です。
 一方「両立支援等助成金」については、これまでよりも申請のハードルが引き上げられる見通しです。従来は、育児休業者の代替要員を雇用した際には、期間が半年以上の場合に最大67.5万円が支給されていましたが、2026年度は支給額が最大81万円に引き上げられる代わりに、期間が1年以上に変更されます。長期雇用が前提となるため、中小企業にとってはやや活用しにくくなるかもしれません。
 人材育成を支援する「人材開発支援助成金」は、2026年度533億円の予算が組まれる見込みです。ここでは新たに、リスキング支援コース受講企業への設備投資助成が新設されます。これは、訓練で得た知識や技能の活用を促すことを目的とした助成金で、機器や設備の導入にかかる費用の一部が助成されます。上限は150万円で購入費用の50%が支給されます。
 人手不足が深刻化している中では、中途採用も積極的に行っていく必要があります。しかし、いくら有能な人材とはいえ、賃上げを伴う雇用はなかなかできません。そんな企業の悩みを解決するのが「早期再就職支援等助成金」です。2026年度は雇入れ支援コースで9億5000万円、中途採用拡大コースで10億円の予算が計上される見込みです。賃金上昇率は5%とそこまで高くないので、比較的活用しやすい制度だと言えます。
 人の雇用、育成、定着は一筋縄ではいきません。ましてや今のように、人手不足や人件費が高騰している状況では、ことさらそれらは難しくなっています。しかし、諦める前に、まずはここで紹介した助成金を活用することはできないか、検討してみてはいかがでしょうか。助成金をうまく活用すれば、少ない自己負担で企業の成長を実現できるかもしれません。新年度はもうすぐ始まります。ライバル企業の先を行く一歩を、ぜひこの機会に踏み出しましょう。