闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第24回)|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.12.06

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第24回)

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第24回)
11 社員教育のあるべき姿①

 昔は誰かに物事を教えて頂くときに、師匠と弟子という関係にあった。私も会社に就職したてのときは、営業のできる先輩に言われた。

「一言で言ってしまうのは簡単だ。でも、みんな仕事を取るために必死に考えて、失敗してできたノウハウを、簡単に後輩に教えたりはしない。それで一生ご飯を食べることができるのだから」

 基本的なことは教えてやる。ただし成功するノウハウは盗めということである。
 先輩社員のお客様に対したときの目線の置き方、入りの声のトーン、話口調、話す順番は、それこそまるで詰将棋のようだった。
 一生お金に困らない術を教えてもらうのだから、教えてくれない会社が悪いという姿勢では駄目なのではないだろうか?
 新入社員も、3カ月もしないうちに営業ができると人間とできない人間とで差がついてくる。何が違うのか?それは、マネをしているだけの社員と考え方を盗んでいる社員との違いだ。
 営業のロープレの練習をいくらやってもその差は埋まらない。なぜなら話す順番を暗記しているだけで、お客様の状況に応じた判断ができないからだ。
 仕事ができる人間とできない人間の差は、シンクロ率の早さである。できる人間は、お客様と話すときに呼吸を合わせて、さらに鼓動のことを合わせて来る。シンクロが早いとお客様との共鳴も早く、受け入れてくれやすくなるから成約できるのである。
 逆にお客様とシンクロできないと、どれだけ練ったクロージングトークをもっていっても、成約することはできない。
 野村監督はこの対談の始める際、『闘将野村 弱小企業を一流へと導く新経営理論』というタイトルを見て、

「まったく見当違いのところに来ていないかい?俺は野球の野村だよ。こんな野球屋に経営なんてわからないよ」

と笑っておどけた。こちらが緊張しないように、監督から雰囲気を作ってきて、私との間合いを詰めてきたのだ。一気にこちらも話しやすくなった。監督時代、マスコミを上手に利用した野村監督の営業話術である。