冬のヒートショック対策|健康被害|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2022.12.19

冬のヒートショック対策

冬のヒートショック対策
発見が遅いとそのまま死に至るケースも!

 冬によく起こる事故の一つに「ヒートショック」があります。みなさんはご存知でしょうか?「ヒートショック」とは、例えば暖房の効いたリビングから寒く冷え切った浴室という具合に、暖かい場所から急に寒い場所に移動した際に、血圧が上がったり下がったりを繰り返すことで心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす症状のことを言います。一般的に冬に起こるイメージが強いですが、実は夏にも頻発しています。今回はそんなヒートショックを予防するための断熱リフォームついて取材しました。

 愛知県名古屋市に在住の大橋玉子さん(65)は、昨年12月にご自宅の断熱リフォームを行いました。きっかけは長年連れ添ったご主人を、ヒートショックによる心筋梗塞で亡くしたことだったそうです。
 同年の10月頃、ご主人はいつものように夕食前に「風呂に入てくる」といって浴室に向かいました。しかし、いつもは30分程度で出てくるのに、その日は1時間近く経ってもまったく出てくる様子がありませんでした。「おかしい」と思った玉子さんは、キッチンから声をかけてみたものの反応がありません。仕方なく浴室まで様子を見に行ったところ、洗い場でうつぶせになって倒れているご主人を発見しました。
 玉子さんはすぐに救急車を呼びましたが、残念ながらご主人はそのままなくなってしまいました。診断の結果、死因はヒートショックによる心筋梗塞だと分かりました。実はその日は10月にもかからず朝から冷え込み、リビングではエアコンをつけていました。医者によると、暖房の利いた暖かい部屋から急に寒い浴室に移動したことが原因かもしれないと言われたそうです。
 この話を玉子さんと一緒に聞いた息子さんは、とても不安になったそうです。というのも、息子さんは仕事の関係で東京で生活しているため、これから一人で生活することになる玉子さんにも同じことが起こる可能性があったからです。

「何かヒートショックが起こらないようにするための対策はないのですか?」

息子さんにそう尋ねられた医者は次のように答えました。

「ヒートショックは温度差のある部屋の行き来で起こります。したがって、室内の温度をある程度一定に保っておけるようにしていれば、そうそう起きるものではありません。とはいえ、寒い冬に家中のエアコンを付けっ放しにしておくわけにもいきません。これはあくまでも個人的な意見ですが、家の中の温度が下がりにくくなるように、ご自宅をリフォームされたらいかがでしょうか?」

 息子さんはすぐに名古屋市内のリフォーム会社に相談しました。そして何度かの打ち合わせを経て、ご実家の断熱リフォームを行うことにしました。
 玉子さん宅は築45年と古く、断熱性能はかなり低い状態でした。そこでまず、壁と床、天井の断熱工事が行われました。既存の壁や床はいったんすべて剥がし、内部に断熱材が仕込まれました。
 予算が限られているため、窓回りは全面交換せずに、既存の窓を活かしながらペアサッシ化する工事が行われました。
 最後は浴室です。ここはご主人が亡くなられたことからも分かる通り、家の中でも特に冷え込む場所です。四方に断熱材を仕込むとともに、セラミックファンヒーターが取り付けられました。
 工事は約3週間で完了。壁や天井の張り替えなど、一部大掛かりな工事があったものの、窓回りをはじめ、コストを下げるための工夫を随所に凝らした結果、工事代は約350万円で済んだそうです。
 屋内の温度を一定にすることは、ヒートショックの予防だけでなく、不眠や下痢、便秘と言ったさまざまな体調不良を防ぐことにもつながります。健康な生活を続けるためにも、尾の機会に一度、家の断熱リフォームを検討してみてはいかがでしょうか?ご相談はお近くの全国優良リフォーム会員まで。