50年健楽住宅~治療がしにくいあなたの病気、原因は住宅かもしれません!?~|健康被害|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2023.01.30

50年健楽住宅~治療がしにくいあなたの病気、原因は住宅かもしれません!?~

50年健楽住宅~治療がしにくいあなたの病気、原因は住宅かもしれません!?~
日々のお料理、これがあなたの耳鳴りと腰痛症の原因だった!


 小さな会社を経営している小橋陽介社長(仮名)は、5つ年下の奥さんと二人で大阪市内に住んでいます。3人のお子さんはみな、電車で2、3数時間以内のところに住んでいますが、それぞれ結婚して家庭があるため、直接会うのは年に数回程度だそうです。
そんな小橋さんは2017年に家の断熱工事をしました。約700万円を投じただけあってエアコンの効きが抜群に良くなり、電気代は半分に。奥様は大喜びしたそうです。しかし、工事完了からひと月ほど経った頃から、小橋さんの体に異変が現れ始めました。

「何や、小さな耳鳴りがするようになったんですわ。気持ち悪いんですぐに病院で診察を受けたんやけど、原因は分からず仕舞い。仕方ないんで、そのときは鼻と耳の通りを良くする薬をもらって帰ってきましたわ」
 
 しかし、小橋さんの症状はいっこうに良くなる気配がありませんでした。そしてそうこうしているうちに、救急車を呼ぶ事態に見舞われてしまったそうです。

「身体が熱くて頭がボーっとしたと思ったら、熱を出してひっくり返ってたしまったんですわ。女房がすぐに救急車を呼んでくれたから良かったものの、誰も気付かずにそのまま倒れて居たら危なかったって、病院の先生も言うてはりました」


小橋さんはそのまま5日間入院。そしてそのとき、不思議なことに気が付きました。

「入院2日目くらいからやったかな、気付いたら耳鳴りが収まっとったんですわ。あんなに毎日悩まされていたのに、これは不思議だと思いましたね。倒れたときにどっか打ったのが良かったちゃうんかと思いました。まさに“災い転じて福となす”ですわ」

 入院生活ですっかり元気を取り戻した小橋さんは、意気揚々と家に帰りました。ところが帰宅から数日後、再び耳鳴りの症状が現れたそうです。しかも今度は足にむくみまで出たため、さすがに「これはあかん」と思った小橋さんは、今度は少し離れた場所にある別の病院に診察を受けに行きました。
 それまでの一連のいきさつを聞いた医師は、小橋さんに次のように言いました。

「小橋さんは最近、ご自宅をリフォームされたそうですね。お聞きする限り、耳鳴りの症状はリフォーム後に出始めたようです。また、倒れて病院に入院している間は症状が治まり、家に戻った途端、再び耳鳴りに悩まされるようになっています。これはあくまでも一つの可能性としてお話するのですが、諸々の事情を総合的に判断すると、耳鳴りの原因はリフォームで生まれ変わったお宅にあるのかもしれません。一度、専門の方に検査してもらってみてはいかがでしょうか?」

 小橋さんは半信半疑のまま建築関係の仕事をしている知人に相談し、リフォームに詳しい建築士を紹介してもらいました。小橋家を訪れた建築士は次のように言いました。

「とりあえずリフォーム会社が作った図面や仕様書などをご用意ください。それを参考にしながら、工事に使われた建材などを一つ一つ確認しましょう」

 建築士は丸一日がかりで家の中をくまなくチェック。そして次のような結論を出しました。

「使われている建材のほとんどはごく一般的なもので、特に問題があるとは思いません。一方で換気設備がほとんどないのが気になります。家全体が断熱化されているため、換気がきちんとできていないと、室内の空気はほとんど外に放出されません。こちらの家はどう見ても換気設備が不足しています。もしかしたら換気不足原因で、建材からわずかに放出される化学物質が屋外に放出されずに蓄積し、それが小橋さんの体に悪影響を及ぼしているのかもしれません」

 小橋さんは、建築士のアドバイスに従い、24時間、自動で空気の入れ替えができる換気設備を設置。さらに換気も意識的に行うようにしました。すると、2週間ほど経った頃から耳鳴りの症状が徐々に改善され、ひと月後にはすっかり収まったそうです。今では、耳鳴りがすることはまったくないそうです。

 新築・リフォームを問わず、住宅に使われる建材には、程度の差こそあれ、化学物質が含まれています。しかし、日本では厳しい規格があるため、それが人体に影響を及ぼすようなことは基本的にありません。今回のケースでは、換気機能が不足していたため、建材から出た化学物質がうまく屋外に放出されず、室内に蓄積してしまっていたことが原因だと考えられます。換気設備の増設と換気の徹底によって、小橋さんの症状が改善したのがその証拠です。みなさんも、リフォームを行った後は、換気にも十分注意して下さい。

 令和の時代は個人個人の健康を考えながら、地域や社会全体の健康も考えていく時代になっているのではないかと思います。ご相談はお近くの全国優良リフォーム会員まで。